2010年04月27日

『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』

『ピアノ・レッスン』『ある貴婦人の肖像』『ホーリー・スモーク』『イン・ザ・カット』……、シェーン・カンピオン監督がロマンチック・ラブに懐疑的だろうと思われる映画をあげていったらきりがないのだが、突然、この転向ぶりに驚いた。「いちばん美しい恋の詩」だものね。彼女がそういうなら、どんなもんだろう? と行かずにはいられない。もっとも「いちばん美しい」のは「恋」ではなく「詩」にかかる形容詞なのだが。

「劇作家シェークスピア、詩人キーツ、小説家ディケンズ」とイギリスの三大文豪と後世では評価されながら、25歳で不遇のうちに結核で死んだロマン派詩人、ジョン・キーツ、と、その婚約者とされたファニー・ブローンとの恋愛を描く。見ながら「せかチューじゃん!」と叫びたくなったが、カンピオン監督を動かしたのは、何より、その「詩」の美しさである(もしかしたら「恋」ではないのかもしれない)。

 カンピオン監督は、ファニーと自分の娘の姿が重なって、この恋を母親の視線で見る視線で映画を撮っていたらしい。映画のタイトル(キーツが作った詩)のごとく、ごたごたに巻き込まれずに純粋に心を寄せ合うロマンチック・ラブは、人生の一瞬の輝きなのだなあ、と、監督と感覚を共有しながら見ることができた。


ジョンとファニーのファースト・キス・シーンがとてもよくて、ふたりのやわらかい唇の触感が伝わってくるあたりは、「体感覚」重視のカンピオン監督の演出が冴える。細面で草食系のキーツ(ベン・ウィショー)と肉づきのよいグラマーなアビー・コーニッシュの組み合わせも『タイタニック』を思いおこさせて良かった。
 
 
http://www.brightstar-movie.jp/index.html
初夏、Bunkamura ル・シネマ他
 
posted by ishizuka_tomo at 10:36| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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