「劇作家シェークスピア、詩人キーツ、小説家ディケンズ」とイギリスの三大文豪と後世では評価されながら、25歳で不遇のうちに結核で死んだロマン派詩人、ジョン・キーツ、と、その婚約者とされたファニー・ブローンとの恋愛を描く。見ながら「せかチューじゃん!」と叫びたくなったが、カンピオン監督を動かしたのは、何より、その「詩」の美しさである(もしかしたら「恋」ではないのかもしれない)。
カンピオン監督は、ファニーと自分の娘の姿が重なって、この恋を母親の視線で見る視線で映画を撮っていたらしい。映画のタイトル(キーツが作った詩)のごとく、ごたごたに巻き込まれずに純粋に心を寄せ合うロマンチック・ラブは、人生の一瞬の輝きなのだなあ、と、監督と感覚を共有しながら見ることができた。
ジョンとファニーのファースト・キス・シーンがとてもよくて、ふたりのやわらかい唇の触感が伝わってくるあたりは、「体感覚」重視のカンピオン監督の演出が冴える。細面で草食系のキーツ(ベン・ウィショー)と肉づきのよいグラマーなアビー・コーニッシュの組み合わせも『タイタニック』を思いおこさせて良かった。
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初夏、Bunkamura ル・シネマ他