2011年08月19日

vol.68 若者のいちばん深い欲望を描く 『リメンバー・ミー』

今週、いちばん癒せる映画! 
vol.68 若者のいちばん深い欲望を描く 『リメンバー・ミー』


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【若者の(誰もの?)いちばん深い欲望を描く『リメンバー・ミー』

今週紹介する映画、『リメンバー・ミー』
『トワイライト』でアメリカのオトメたちの心をかきたてるヴァンパイアを
演じた、ロバート・パティンソンが、作品に惚れ込んで、
(『トワイライト』以前に出演を決めていたそうです)
主演と製作・総指揮をつとめました。
現在25歳のロバート・パティンソンですが、早い段階でこのような
映画へのかかわり方を確立し、今後、映画業界を牽引する若い力に
なるかもしれません。

公式サイト
http://www.cinemacafe.net/official/rememberme/

1991年のニューヨークで(この年が、物語に重要な影響を及ぼします)
22歳を目前に迎え、家族全体が、数年前に起きた兄の自殺が
およぼす影から抜け出せない中で苦しみ、いらだつ若者、
というのが、ロバートの役どころです。

母親と離婚していて現在一緒に住んでいない父親を
5代目ジェームス・ボンドだったピアース・ブロスナンが演じているのですが、
あの風貌で(昔よりずっと渋くなって)、全身ラルフ・ローレン?
みたいなNYヤッピーの弁護士(仕事中毒気味で息子とうまくいいっていない)
を演じているのですが、血気盛んだが社会にまだ脚がついてない息子と好対照。

ロバート演じるタイラーは、母親、母親の再婚相手、(たぶん異父妹?)
11歳の小さな妹と一緒に住んでいますが、17歳のときに自殺した兄のかげから
抜け出せない。『エデンの東』の中でジェームス・ディーンが演じたキャルが
双子の弟、アーロン(優等生だった)の死の影に引きずられているのと似ています。

イライラ、鬱々とした生活を送るタイラーは、ある
いたずらから一人の女性と出会います。
夜中、ストリートでの喧嘩をとがめられて警官に逮捕されてしまった
タイラーは、その警官の娘が同じ大学で聴講していることを知り、
友達にそそのかされて彼女・アリーに近づきます。
しかし、10年前、地下鉄のホームで、彼女が見ている前で
母親が強盗に射殺された彼女もまた、
父親ともども、心に傷を抱えており、タイラーとアリーは急速に近づきます。

双方の父親との確執、妹の学校でのつらいいじめなど、
痛い試練を経験しながら、やがて家族たちの心は癒しに近づいていきます。

最後の最後に、大きな事件を彼が襲うのですが……。

この作品、原作を無名の新人が書き下ろしたということも
あってか、ちょっと、物語がイタすぎ、強引すぎ、みたいな感じもちょっと
しちゃったのですが、若いロバート・パティンソンはそこにひかれたのかも?
作品のできたエネルギーが、「若さ」「荒削りさ」なのも、
この作品の魅力といえるかも。

映画のタイトルとなっている「リメンバー・ミー」=
「私を忘れないで、私を覚えていて」という心の叫びも
人の心が青いかぎり、ずっと持っている気持ちです。
その欲望が、まっすぐに表された映画といえるでしょう。

かなり王道の「癒し映画」の部類に入ります。

お読みいただき、ありがとうございました。

『リメンバー・ミー』
2011.08.21公開
公式サイト  http://www.cinemacafe.net/official/rememberme/


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posted by ishizuka_tomo at 12:08| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月09日

キルギスに本当に明かりを灯す人〜『明かりを灯す人』

 キルギスの監督、アクタン・アリム・クバト(ロシア名・アクタン・アブディカリコフ)は、本当に「成熟した視線」を持っている人。すごいなあ、と思う。貧しい国の人として、表現の自由が厳しかった時代のサバイバーとして、いいたいことはたくさんあるはずなのだが、「怒り」も「恨み」もほぼ感じられない。深い深いユーモアと、キルギスの自然描写に映画は多くのエネルギーを割かれている。それだけでも見る価値があると思う。そんな彼が、今回は主演もした。「キルギスの寅さん」みたいな、電気職人の話である。

 小さな村で、彼は村の唯一の電気工なのだが(ひとりいればこと足りるような小さな村だ)、貧しくて電気代金の払えない人に、彼はメーターを細工してやり、金を払わなくてもいいようにしてやるのだ。キルギスの電気会社は国営だから、彼は国から電気を盗んでいるため、警察沙汰になる。しかし、彼を擁護する人も多い。そんな彼の村にもやがて、開発の波が押し寄せてきて……。そういう話。

 キルギスは旧ソ連領の中でもとりわけ貧しい国で、それは、天然資源を持たないからである。一方、貧しいからこそ利権の取り合いにもならないわけで、内戦も勃発しない。肌の色が違う人々が、こんなに自然に(なんらかのバックストーリーを持たない。アメリカだと、ポリティカリー・コレクトを意識して、自然にやったつもりで不自然になってしまった、みたいなときがあるが、それがないのである)仲良くやっている風景を見られるのが彼の(キルギスの)映画の特徴で、本当に衝撃的に新鮮なのだが、それは、貧しい同士だから肌の色が違うぐらいで抗争しようがないのである。

 原題は『明り泥棒』で、この『泥棒』という言葉は、もちろんねずみ小僧みたいに「義賊」として使われている。プレス資料にテキストを寄せている、在日キルギス大使館職員のチョンムルノフ・チムール氏は「日本語の『明りを灯す人』のほうが映画をよく表している」と書いているが、私は「明り泥棒」のほうが好きだ。明りを作ったのは政府である。本当は、明りはとめちゃいけないものなのだ。「泥棒」という形の、ささやかな抵抗運動を、彼はしているのである。

 それにしても、「電気」というものが、こんなに人を幸せにするものだったんだ! エジソンの発明がそうだったように、電気は当初「照明」として発明された。それは、この映画で暗示されているように、闇だけでなく人々の心にまで明りを灯した。 
 

posted by ishizuka_tomo at 16:02| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月13日

君は国の息子なのだよ 『バビロンの陽光』

 公式サイトの少年の瞳を見てやってください。これだけで泣けてくる。父親を徴発されて12年間会えない息子が、祖母(父親の母)と、イラクの国中を流浪し、国中の墓場を見て歩く話。

 途中で彼の面倒を見てくれたおじさん(この人もわけあり)がいう、「いつかバビロンに戻ってこい、空中庭園を見せてやる」。おじさんは彼の父になりたかったのだろう。しかし少年はそれを拒否する。拒否して、孤児としての道を歩き出す。

 邦題が『バビロンの陽光』なのだが、原題は『Son of Babylon』で、悪い冗談というか、本当は『バビロンの息子』が正しいというかそのままでいいと思うのだが。どうして「陽光」なんてつけたんだろう。バビロンの息子は、どんな悲劇に見舞われても生きて行こうとするイラクの子どもたちすべてに向けられた呼びかけであり、それは世界中の子供に向けて、そして、私たちの中で生きようとするインナーチャイルドすべてに向けてへの敬意を込めた呼びかけだと思うのだ。

公式サイト
http://www.babylon-movie.com/
2011年初夏 銀座シネスイッチ他で公開
posted by ishizuka_tomo at 19:52| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

暴力の中で性と死を遊ぶ 『四月の涙』

 ロシアからの独立直後に起こったフィンランド内戦下で敵と味方として出会った男女の愛を描いた映画
 ……となると、単純に反戦ムード一色になるのかなー、と思ったが、どうしてどうして、先の読めない主人公たちの動き。とくにエミール判事と、彼に従う写真家(今は軍の施設として使われている精神病院に入院していた患者)が出て来てからの展開が本当に面白い。内戦という異常な状況の中で、歪んでいく性と死生観が丹念に描かれていて、堪能、同時に考えさせられた、人の幸福というものを。

 『ククーシュカ ラップランドの妖精』もそうだが、女がたくましいのだ。男なのに妊娠もできる。そういうパワーが小気味良かったです。

公式サイト http://www.alcine-terran.com/namida/
2011年5月 銀座シネパトス他で公開
 
 
posted by ishizuka_tomo at 19:36| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月27日

『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』

『ピアノ・レッスン』『ある貴婦人の肖像』『ホーリー・スモーク』『イン・ザ・カット』……、シェーン・カンピオン監督がロマンチック・ラブに懐疑的だろうと思われる映画をあげていったらきりがないのだが、突然、この転向ぶりに驚いた。「いちばん美しい恋の詩」だものね。彼女がそういうなら、どんなもんだろう? と行かずにはいられない。もっとも「いちばん美しい」のは「恋」ではなく「詩」にかかる形容詞なのだが。

「劇作家シェークスピア、詩人キーツ、小説家ディケンズ」とイギリスの三大文豪と後世では評価されながら、25歳で不遇のうちに結核で死んだロマン派詩人、ジョン・キーツ、と、その婚約者とされたファニー・ブローンとの恋愛を描く。見ながら「せかチューじゃん!」と叫びたくなったが、カンピオン監督を動かしたのは、何より、その「詩」の美しさである(もしかしたら「恋」ではないのかもしれない)。

 カンピオン監督は、ファニーと自分の娘の姿が重なって、この恋を母親の視線で見る視線で映画を撮っていたらしい。映画のタイトル(キーツが作った詩)のごとく、ごたごたに巻き込まれずに純粋に心を寄せ合うロマンチック・ラブは、人生の一瞬の輝きなのだなあ、と、監督と感覚を共有しながら見ることができた。


ジョンとファニーのファースト・キス・シーンがとてもよくて、ふたりのやわらかい唇の触感が伝わってくるあたりは、「体感覚」重視のカンピオン監督の演出が冴える。細面で草食系のキーツ(ベン・ウィショー)と肉づきのよいグラマーなアビー・コーニッシュの組み合わせも『タイタニック』を思いおこさせて良かった。
 
 
http://www.brightstar-movie.jp/index.html
初夏、Bunkamura ル・シネマ他
 
posted by ishizuka_tomo at 10:36| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月09日

南京―引き裂かれた記憶

 この映画の試写を見たとき、『富を「引き寄せる」科学的法則 (角川文庫 ワ 5-1)』という本がカバンに入っていて、すごく複雑な思いだった。この本は山川さんとくにお勧めの本なんだけど、いわゆる「引き寄せの法則」でいわれる「悲しい気持ちにさせるものは見ない」「遠くで飢えている子供たちのニュースは見ない」「過去の戦争の話は聞かない」ということが書いてある本だったのだ。

「伝えなければいけない事実がある」
vs
「世界を良くするために必要なことはあなたが幸せになることなのです」

 どっちが本当?

 この映画を見て私がおぼろげに出した結論は、「悲しさ」を受け止めながら「幸せ」でいることは可能なんじゃないかってこと。
 この映画では、南京大虐殺の証言を加害者・被害者の立場から綿密に取材しているが、それは本当にひどくて悲しい話なのだが、でも、「不幸」というのとはちょっと違う。不幸なのは、それを憎しみの連鎖やイデオロギーに転嫁させることで、この映画からは、「私たちがいいたいのはそういうことじゃないんです」というのが伝わってくる。ただ、ひとりひとりの、消すことのできない過去に寄り添おうとしただけなのだ。「寄り添う」という態度に、「不幸」は似合わないのではないか?

 ある元兵士の証言。

「死体を焼くのは川の辺りで見たわな。陥落からしばらくしてからやな。夜、飯盒で飯炊こうとしたとき、クリークの水が真っ赤になっとった。死体を放り込んだからやろな。そのまま焚いたからご飯が赤こうなったんじゃ。それを食ったんじゃ。朝見たらクリークは死体だらけで、水が血で真っ赤になっとった」

 それに、政治的事件の名前をつける必要があるのだろうか。あったのは、ひとりひとりの、悲しくて自分ですら受け止められない、つらい記憶だけなのだ。
posted by ishizuka_tomo at 21:34| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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